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〈落葉のしくみ〉 冬が近づき気温が低くなると,葉と茎の間の水分や養分の通る管が詰まり始めます(離層の形成)。この離層が形成されると,葉が落ち始めます。 離層の形成は植物ホルモンの複雑な制御を受けていて,葉の老化が進行すると,葉柄細胞がエチレンを生成するようになり,このエチレンが離層の発達を誘導します。(このほか,アブシジン酸もその進行に影響すると言われています。) 〈落葉のしかた〉 葉の落ち方にもいろいろなタイプがあります。 サクラやイチョウのように,葉柄が枝から離れるのが一般的ですが,ツタにおいては普通,まず葉身が葉枝から離れ,その後で葉柄が枝から離れ落ちます。 トチノキやニセアカシアのように掌状複葉においては,何枚かの小葉が落ちた後,枝から葉枝が離脱します。 メタセコイアにおいては,小枝が葉を羽状に付けたまま脱落します。 また,コナラやヤマコウバシのように,褐色になった枯れ葉が冬中離脱しないものもあります。 〈落葉する理由〉 落葉は,植物の老化現象の一種で,植物にとって大変重要な生理作用です。 葉が老化して枯れて脱落する前に,タンパク質,核酸,クロロフィル(葉緑素)などの細胞に含まれた様々な物質が分解されます。 その構成成分である窒素,リン,カリウムなどの栄養素は,種子や地下茎などの貯蔵器官や若い器官に転流され,再利用されます。 (葉に残ったクロロフィルで作られたデンプンは、離層によって葉に溜まってしまいます。この葉に蓄えられたデンプンが紅葉のもとになるのです。=【紅葉】参照) |
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〈黄葉のしくみ〉 植物の葉の中には緑色の「葉緑素(クロロフィル)」という色素があります。普段葉が緑色に見えるのは,このクロロフィルのためです。クロロフィルは光合成を行なってデンプンを合成し,植物が生きていくための栄養としています。 植物の葉の中には「カロチノイド」という黄色い物質があります。普段はクロロフィルの緑色が濃いため,(クロロフィルの量は,カロチノイドの量に比べて8倍も多くあるため)その黄色はほとんど見えませんが,「カロチノイド」は「クロロフィル」よりも分解が遅いため,「クロロフィル」の分解が進むにつれて「カロチノイド」の色が発現し,葉が黄色くなります。(黄葉の場合は新たに黄色い色素が作られるわけではありません。) (葉の色が黄色に変わる植物では、葉の細胞中に「アントシアニジン」という物質がなく,赤色の「アントシアニン」を合成することはできません。=【紅葉】参照) 〈褐葉〉 やがて,葉が茶色になるのは,「カロチノイド」も分解され,同時に食害を防いでいる「タンニン」から褐色の色素「フロバフェン」(タンニンと複雑に酸化重合した褐色物質の総称)が生成されるためです。 |
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〈紅葉のしくみ〉 冬が近づき気温が低くなると,(「クロロフィル」の分解がある程度進み,)葉と茎の間の水分や養分の通る管が詰まり始めます(離層の形成)。 葉に残った「クロロフィル」で作られたデンプンは,離層によって葉に溜まってしまいます。そして分解されてブドウ糖に変化します。 紅葉する植物の葉の細胞中には「アントシアニジン」という物質があります。この物質とブドウ糖が結合することによって,赤色の「アントシアニン」がつくられます。 さらに葉の中に残った「クロロフィル」が分解されて緑色が薄くなると「アントシアニン」の赤色が目立つようになり,葉の色が赤く変化します。これが紅葉です。 〈紅葉のしかた〉 木々の紅葉の仕方を注意深く観察しますと,樹冠の内部から色付き始める木と,梢の先端から紅葉するものに大別されます。 これは,開葉の仕方と関係すると言われています。 順次開葉するタイプのカンバ類,ヤナギ類,ニレ類,カツラなどにおいては樹冠内部の老化した葉から順次色が変わって落葉します。これに対して一斉に開葉するカエデ類,サクラ類,ブナなどは樹冠先端部から紅葉を始めます。 〈美しくなる条件〉 美しく紅葉するためには,残っている「クロロフィル」により糖が生成されなくてはなりませんので昼間の日光が不可欠です。また葉からの糖分の移動を遅らせるための寒い夜も大切です。 一般に最低気温が8℃以下になると葉は色付き始め,5〜6℃以下になると急に進むといわれています。更に日中は温暖で夜間に急激に冷え込みますと,美しい紅葉が見られます。 空気が澄んでいて,葉が十分に日光を受けることも必須条件です。大気の汚れも紅葉に悪影響を及ぼします。 更に,適度な空中湿度も必要で,これらの環境条件が揃いますと一層美しく紅葉します。深山や渓谷における紅葉が鮮やかなのは,これらの条件が満たされるからです。 〈若葉の紅葉〉 若葉の紅葉も,アントシアニンによって起こります。 アントシアニンという赤い色素は,若葉が成長してクロロフィルを生産できるようになるまで,紫外線から葉を守る働きをしています。また,日光を吸収して,温度を上げる役割もしています。(葉緑体の保護と言う意味において紅葉する常緑植物として,スギ,テイカカズラ,ナンテン,ヤブコウジなどをあげることができます。) 日当たりの良い所に生えているスギの葉は冬になると赤くなります。常緑樹の中においても,クスノキやカクレミノのように,初夏の頃に新芽が出ると,古くなった葉が美しく色づいて落葉するものがあります。 (秋の紅葉や,寿命で古くなったり傷ついたりした葉が赤くなるのは,単に落葉する前の現象で,色づくこと自体には特に意味合いはないと考えられています。) |
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「カロチノイド」は,ポリエン(polyene)構造(長い鎖状の共役二重結合系からなる構造で,空気酸化や光酸化を受けやすく,酸化すると分解して退色します。)を持つ色素の総称で,C40の炭素組成を持ち,N(窒素)を含まない色素です。 その内,アルコール類を「キサントフィル」といいます。(本来は総称ですが,狭義には,「ルテイン」(C40H56O2)という紅色の色素を指すこともあります。) 同じように酸素を含むものには,ケトン類の色素「ロドキサンチン」,カルボン酸類の色素「ビキシン」,エステル類の色素「ヘレニエン」などがあります。 また,酸素を含まない色素としては有名な「カロチン」,「リコピン」などがあります。 「カロチノイド」は緑黄色野菜や海藻,卵黄などに多く含まれます。動物では植物から摂取したカロテノイドをビタミンAなどの生理活性物質に変換して利用しています。 古くから染料,食品着色料として利用されていまが,最近,抗酸化や発癌抑制など健康にプラスとなる働きが分かってきました。特にルテインは、抗酸化や発癌抑制に加えて,白内障などの目のトラブル予防に役立つ事が注目されています。 カロテノイド系色素には, パプリカ色素,、 クチナシ黄色素 、ニンジンカロチン色素などがあります。 【参考:キサントフィルサイクル(熱放散)】 植物が光合成を行い,生存していくためには,光はなくてはならないものです。しかし,光合成に必要とする以上の過剰な光はかえって害となります。(強光阻害)。この強光阻害に対する植物の生理的防御機構の1つとして,キサントフィルサイクルと呼ばれる防御機構があり,キサントフィルは熱放散で主要な役割を果たしていると考えられています。 「サイクル」というのは,キサントフィルが条件によってビオラキサンチン−アンテラキサンチン−ゼアキサンチンの3種類に変化することをいいます。 暗条件ではほとんどがビオラキサンチンになっていますが,吸収光が過剰になると,ビオラキサンチンからアンテラキサンチンを経てゼアキサンチンが合成されます。(デポキシ化) そして再び暗条件にすると,またアンテラキサンチンを経てビオラキサンチンが合成されます。(エポキシ化) これを「キサントフィルサイクル」と言います。 高等植物ではこのゼアキサンチンが熱放散を中心的に行っていると考えられています。キサントフィルサイクルが非常に優秀な点は,光が過剰なときにのみゼアキサンチンが形成される点です(例外はあるようですが)。したがって,弱い光のときには光合成の効率を下げることがなく,強い光のときにのみ光防御としてはたらくことができます。 |
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「クロロフィル」は,光合成を行うために不可欠な色素です。光合成には青色と赤色の光が使われますので,緑色の光が残され,葉が緑色に見えるのです。 「クロロフィル」は,葉の中にある「クロロフィラーゼ」という加水分解酵素により,「フィトール(フィチルアルコール)」(C20H40O)に加水分解されます。 「クロロフィル」には「クロロフィルa」(C55H72MgN4O5)と「クロロフィルb」(C55H70MgN4O6)があります。「クロロフィル」のポルフィリン環の周りの化学構造が微妙に違うことによって、クロロフィルのα(a)、β(b)、γ(c)に別れるのですが、それらをまとめてクロロフィル類と呼びます。 そのポルフェリン環のまん中にあるマグネシウムが抜けたものをフェオフィチン類(フェオ色素)と呼びます。 【参考:光合成】 光合成生物(広い意味での植物)は,今から30億年以上前に誕生したと考えられています。しかし,当時は酸素を発生しない,いわゆる光合成細菌タイプの光合成が行われていました。この光合成細菌から酸素発生型光合成生物が生まれました。 酸素発生型光合成生物のごく初期のもの(クロロフィルaを持った原核型光合成生物)がクロロフィルbを合成するようになり、次に合成されたクロロフィルbは、新たに470nmと650nmの光を光合成に利用できるようになり (光合成色素は,光合成に利用できる光の種類(波長)が決まっています。) 、その後、クロロフィルb結合型蛋白質が誕生し、クロロフィルbはその蛋白質に移行し特徴的な色素が誕生しました。 その後,酸素発生型光合成生物は,様々な光合成補助色素を獲得し,ラン藻や原核緑藻へと多様化していきました。そのなかのある原核型光合成生物が,真核型非光合成生物の細胞内に共生することで,葉緑体が誕生しました。新たに誕生した葉緑体はフィコビリンや,クロロフィルb,フコキサンチン,ペリディニン等を持った葉緑体へと進化し,紅藻,緑藻,褐藻などの高次グループが誕生しました。(緑藻や陸上植物はクロロフィルbを,紅藻や灰色植物はフィコビリンを,褐藻はフコキサンチンを持った光化学系を利用しています。) |
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「アントシアニン」は配糖体(グリコシド)の一種で,「アントシアン」という糖(炭水化物:Cn(H2O)m)と「アントシアニジン」という非糖成分(アグリコン)からできています。(この糖分の「アントシアン」のことを「アントシアニン」と呼ぶこともあるようです。) 「アントシアニン」は,植物の美しい色を持つ部分に多く存在する配糖体で,酸を加えると赤くなります。Ca,Mgなどの金属と種々の錯体をつくり,赤・青・紫などの多様な色を示します。(発色団は「アントシアニジン」の方です。) アントシアニン系色素には, 赤キャベツ色素, シソ色素, ブドウ色素, ムラサキイモ色素などがあります。アントシアニン系色素の大きな特徴は、pHの変化により、色調や安定性が大きく変わることです。 【参考:植物の色素】 植物界に広く分布するフラボノイド(flavonoids)系色素は,その構造から「アントシアニン系(anthocyanins)」,「カルコン系(chalcones)」,「フラボン系(flavones)」、「フラボノール系(flavonols)」、「オーロン系(aurones)」に分けられます。 フラボン系色素には,タマネギ色素, カカオ色素などがあります。 カルコン系色素で代表的なのは, ベニバナ色素です。 |
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一般には「渋」ともいわれ,古来より酒造り,漢方薬や染料(草木染め),漆,木材等の防腐剤として利用されてきました。最近の研究では,ホルムアルデヒド吸着剤,重金属吸着材等の機能性材料としての用途が注目されています。 水やアルコールに溶けて,渋味を出します(お茶・ワイン・漢方薬など)。ワインを例にすると,タンニンは原料となるぶどうの花梗の1〜3%(重量%),果皮の0.5〜2%,種子の4〜8%含まれ,果肉の液部自体にはほとんど含まれません。(赤ワインのあの美しい色素もタンニンの一種です。) 植物界に広く存在する物質で,植物起源の水溶性ポリフェノールがすべてタンニンとよばれています。「温水によって抽出されるポリフェノール化合物で、塩化第二鉄によって青色を呈し,アルカロイド,ゼラチン及び他のタンパク質を沈殿させる化合物」と定義されています。 カリ融解によってピロガロールを生じるピロガロールタンニンと,カテコールを生じるカテコールタンニンとに大別されます。 また,希酸と加熱すると加水分解され没食子酸やエラグ酸,ポリオキシジフェン酸などを生じる加水分解型タンニンと,重合して水に不溶のフロバフェンを生じる縮合型タンニンとに分類されます。 加水分解型タンニンは没食子酸やエラグ酸,ポリオキシジフェン酸などが糖とデプシド結合をした構造で,薬品や加熱,直射日光によって性質が変化しにくいため,薬用や皮なめし薬として使われます。 縮合型タンニンはカテキン,ロイコアントシアンなどが数分子重合したものと考えられていて,樹脂を作るのに適しています。(例えばカキタンニンは,エピカテキン,カテキン−3−ガレート,エピガロカテキン,ガロカテキン−3−ガレートからなっています。繰り返し構造をもつ分子量約1万5千前後の高分子のプロアントシアニジンポリマーです。) 【参考:タンニンの生体防御機能】 1.ホ乳類や昆虫による摂食や病原菌による感染などの生物的要因によるストレス防御 オーク葉の昆虫による摂食は春に激しく,6月以降はほとんど摂食されません。オーク葉の加水分解型タンニン量は一年を通じてほぼ一定ですが,縮合型タンニンは6月以降に増加します。縮合型タンニンの生成によって葉の組織構造が密になるため,摂食が抑制されると考えられています。 また、ワタの葉のタンニン含有量とダニ耐性についても同様の関係が認められています。 また,ブナ葉を摂食するブナアオシャチホコの発生には周期性が認められています。ブナアオシャチホコの摂食を受けたブナはその刺激に応じて葉にタンニンを蓄積し,その結果,ブナアオチャチホコの成長が抑制され発生が減少するわけです。 植物と昆虫の間には,食べられまいとする植物と食べようとする昆虫の間で激しい攻防があります。植物はタンニン等の防御物質を葉中に蓄積して昆虫の消化酵素を変性させ,栄養価を低下させようとしています。一方,イボタガのような昆虫は消化液中にグリシンを分泌し,自らの消化酵素のタンニンによる変性を防ごうとしているのです。 2.紫外線、活性酸素、栄養欠乏等の非生物的要因によるストレス防御 タンニンは40〜320nmの紫外線を吸収する性質を示し,樹木細胞中のタンパク質や核酸の紫外線による損傷を防ぐ作用も有しています。 針葉樹の外樹皮は一般に褐色または黒褐色ですが、これは外樹皮に含まれるタンニンが紫外線や酸素によって酸化されて高分化したものと考えられます。外樹皮中のタンニンは自らが酸化されることによって樹体成分の変質を抑えているのです。 |