魚而(じ)状(魚卵状)珪石(珪華・蛋白石)
Oolitic Tufa (Dolitic Sinter)

秋田県湯沢市(旧雄勝町)秋の宮字役内産「ブリコ石」

解説
【秋田産魚卵状珪石】
 魚而(じ)状珪石は,温泉沈殿物の一種で魚卵状をしています。成分は純粋の二酸化珪素 SiO2で,色はほとんど白色から灰色です。(水分を含みますのでオパールの一種ともいえます。)形状が秋田名物の鰰(はたはた)の卵(ブリコ)に似ているところから地元ではブリコ石と呼んでいます。秋田県の天然記念物に指定されています。 その直径は1.5〜4mmで,中には8mmに達するものもあるそうで,同様の魚卵状珪石は各地にありますが,大きさでは群を抜いています。
  細かい岩片や砂などを核にして温泉水の中で徐々に珪華が樹枝状に付着・成長し,全体として球状になったものと考えられています。集合体は大変もろく,バラバラに崩れてしまうことが多い石です。

 産地一帯は,かっての盛んな温泉活動により長い間に厚さ数メートルの珪華が堆積しています。産地の北側の部分には魚而(じ)状珪石が最も良く分布しており,厚さ約2メートルの珪華の中に厚さ10cm程の魚而(じ)状珪石が3層をなして存在しています。南側では,さらに厚く珪華が沈殿し,数個の噴泉塔を形成していましたが,現在ではわずかに一つの噴湯孔に噴気があるだけで,昔の面影は見られません。

 珪華が沈殿する途中で木の葉が落ち,その跡が残った「木の葉石」(植物仮像)を含むものもあります。噴泉塔付近で見かけられることがあります。

富山産魚卵状珪石
 富山県中新川郡立山町立山温泉にも,世界的に有名な魚卵状珪石があります。
 小さな砂粒を核として球状にシリカガラスが成長したもので,ふしぎと粒がそろっていて,直径は1〜2mmと小さめです。粒がたくさん集まって固まりになっていることもありますが,大変もろく,一つ一つの粒がバラバラになっていることが多いようです。(富山では慣例的に「玉滴石」と呼んでいるそうですが,「玉滴石」は本来,無色透明に近いガラスの粒の集合のようなオパールの総称です。)
 1890年代から1900年代の初めにかけて,学者らによって紹介され,その美しさから世界的に有名になりました。イギリスの大英自然史博物館にも新湯産の玉滴石が展示されていました。
 立山温泉新湯の温泉水には現在も多量のシリカが含まれ,溶けきれないシリカが10000分の2〜3mmの球状体となって沈殿しています。形成されている現場を確認できることは,本当にまれなことだそうです。

鹿児島産魚卵状珪石
 鹿児島県霧島市牧園町(三体堂坂下)産の魚卵状珪石も有名です。
 産地では河床を1m前後掘り下げる事で得られると言われていますが,実際には塊状のオパール層がほとんどで、まとまった魚卵状として得られる事は希だそうです。こちらも無色透明に近く,直径は1〜2mm程度と小さめです。