尾去沢石 (Osarizawaite:オサリサワイト)

解説
 方鉛鉱の酸化鉱物である硫酸鉛鉱(PbSO4)がさらに酸化した明礬石族の鉱物です。1961年,秋田県鹿角市の尾去沢鉱山から発見されました。鈍い光沢を持つ黄緑色(ウグイス色)で,形態は微細な土壌状〜粉末状(粉塊状)であることが多く,稀に顕微鏡的な管状の形態(三方晶系)を示します。明礬石の化学組成はKAl3(SO4)2(OH)6で,尾去沢石はカリウムを鉛が置換し,アルミニウムの1つを銅が置換したものに相当するPbCuAl2(SO4)2(OH)6という化学式で表わされます。
 尾去沢石の産出はそれほど珍しくはなく,日本では秋田県亀山盛鉱山,新潟県三川鉱山,オーストラリア,アメリカ,ニュージーランドなどからも産出が報告されています。
 1959年初頭,東京大学の渡辺武男氏,加藤昭氏らは尾去沢鉱山産の淡緑色粉末状鉱物の同定を依頼され,X線粉末回折データを取得してみると,ビーバー石(beaverite PbCuFe3+2(SO4)2 (OH)6)という鉱物のアルミニウム置換体と判断しました。
 1962年西オーストラリアから尾去沢石と同一の鉱物が発見され,ワシントンでの国際鉱物学連合総会での新鉱物・鉱物名委員会に新鉱物として提案されました。日本代表として参加していた片山信夫氏は,前年に公表されていた別刷を示して日本の尾去沢石に優先権があることを主張しました。片山の主張は認められosarizawaiteという鉱物名が認可されました。