水晶:(日本式双晶)
Rock crystal:(Japanese twin)

日本式双晶 (ペルー産)
 ↑ 双晶の両先端間は50mm程度
解説1(結晶構造)
 石英(Quartz:SiOは六方晶系の鉱物で,先のとがった錐面をもつ六角柱状の結晶になったものを水晶(Rock crystal)とよびます。
 ところが,条件によっては2つの結晶がL字型にくっついてしまうことがあります。このL字形の股のところは,他の部分より源溶液(熱水)の珪酸分が付着しやすく,周辺よりも早く(大きく)成長します。その結果できあがったものが日本式双晶(Japanese twin)です。
 日本式双晶は,結晶のC軸(六角柱の結晶の場合,柱の中心を通る軸)が84度33分で接し,対応する柱面が平行になるように接合した(板状に発達した)水晶の双晶です。

日本式双晶 (長崎県奈留町水晶岳産)
 ↑双晶の両先端間は12mm程度
解説2(由来)
 明治時代(1900年頃)に山梨県乙女鉱山付近から産出した標本が多数ドイツで研究されました。その際に,岩石学者ゴールドシュミットが命名しました。それ以前にもこの双晶は見つかっていましたが,数が少なくて十分な研究ができなかったところへ,日本から多数の標本が届いたため,日本式双晶と命名されたそうです。


 山梨県乙女鉱山や長崎県奈留町水晶岳などが美しい結晶の産地として有名ですが,上の写真のような小さな双晶(先端間5mm程度)でしたら,どこでも見つかる可能性はあります。秋田市周辺では,荒川鉱山跡地付近で探してみてはいかがでしょう。



解説3(水晶の英名「crystal=クリスタル」の語源)
 ギリシャ語の氷を意味する「クリタロス」が語源です。アルプスの雪と氷の世界で発見されたため,氷が石に変わったものだと思われたという逸話もあります。今日では,クリスタルはガラスのことを指す言葉ですが,ガラスも元の原料は石英です。

解説4(左水晶・右水晶?)
 水晶には,左水晶と右水晶があるという説があります。斜めになっている結晶面のつけ根の角が少しだけ欠けていて,3角形の面になっています。この3角形の部分が左にあれば左水晶(下図),右にあれば右水晶なのだそうです。ただ,肉眼でははっきり見えないことが多く,偏光装置や酸処理(表面を腐食させて凹凸の状態で見分ける)が必要なようです。
 実際に私が所有している水晶で調べたところ,肉眼(ルーペ)ではっきりと観察できたものはわずかに数個でした。

解説5(高温型・低温型)
 高温型水晶は、573℃から870℃の間(1気圧)で安定な水晶で、側面が無く、6つの三角形の面を持った三角錐をふたつ結合した形(そろばんの珠のような形)をしています。高温型水晶はマグマ中で形成する場合が多いので、両端が尖った本来の結晶形に成長できるのです。(下左図)
 低温型水晶は、573℃よりも低温で安定に存在する水晶で、側面があり、多くは一端のみが鋭くなっています。低温型水晶は母岩の表面で結晶が成長する場合が多いので、一端は鋭く成長できないためです。(下右図)



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