鋸歯のあるブナの葉


ブナの波状縁の葉(左)と鋸歯のある葉(右) (ラミネート加工済)

 左は普通によく見かける波状の縁をしたブナの葉ですが,右は鋸歯をもったブナの葉です。
 ブナ林を観察していると時折見かけることがあります。
 葉形の変化の例としては,ヤマグワ,ヒイラギなどがありますが,これらに比べブナの鋸歯葉の出現頻度はごく少ないようです。

ムカシブナの葉の化石(左)とブナの鋸歯のある葉(右)

 左の写真のように,化石で出現するムカシブナの葉の多くには鋸歯があります。そのため,鋸歯葉のブナの葉は,先祖返りではないかともいわれます。
 ブナが地球上に姿を現わし始めるのは恐竜が絶滅に近づく白亜紀後期で,およそ8000万年前です。そして2300万年前の新生代中新世には,葉や堅果・殻斗などのかたちが現在の種とそっくりなブナが出現したようです。


化石及び現存するブナの近似種
アンチボフブナ
Fagus antipofi
・中新世前期〜中期に出現
・葉縁は単鋸歯縁を基本形とし,波状縁もある。
・2次葉脈は11〜23対(多くは16〜18対)
ムカシブナ
Fagus stuxbergi
・中新世後期〜鮮新世に出現 (→鮮新世〜現在:ブナ)
・葉縁は単鋸歯縁
・2次葉脈は6〜13対(多くは9〜11対)
アケボノイヌブナ
Fagus palaeojaponica
・中新世後期〜鮮新世に出現 (→鮮新世〜現在:イヌブナ)
・葉縁はごく浅い波状縁(鋸歯はない)
・2次葉脈は12〜20対
ブナ
Fagus crenata
・鮮新世〜現在
・2次葉脈は7〜11対
イヌブナ
Fagus japonica
・鮮新世〜現在
・2次葉脈は10〜14対